生産体制や親芋活用で討論 さつま町が湛水栽培サトイモシンポジウムを開催
さつま町は11月26日、JA北さつま本所で、中山間地農業ルネッサンス推進事業「湛水栽培サトイモシンポジウム」を開きました。生産者や加工団体、飲食業関係者ら約70人が参加。「栽培面積を拡大し、消費するためにはどうしたらいいか」をテーマに意見を交わしました。
同町では重点品目のサトイモの栽培面積拡大を推進し、ブランド化を目指しています。水田を利用し水をかけ流して栽培する「湛水栽培」が、収量増加や乾腐病予防などに効果があることから、栽培方法や親芋の活用について事例が紹介されました。
かじや農産㈱代表取締役の鍛治屋公貴氏は、2004年から湛水栽培に取り組んでおり、栽培方法などを説明しました。湛水時期は梅雨明けから9月末で、湛水量の目安は10~20㌢。「病害の発生や障害芋も見られない。形も良く収量が上がった。今後は栽培技術を確立し、親芋を活用して所得向上を図りたい」と述べました。
パネルディスカッションには生産者、生産技術指導者、加工・販売者の3人が登壇し、それぞれの立場から意見を述べました。県農業開発総合センター野菜研究室の池澤和弘氏は生産体制について「排水性の良い水田の活用がベスト。掘り取った後の子芋分離作業の負担が大きいので、分離機の導入を検討すべき」とアドバイスしました。
親芋を使った6次産業化の可能性について、㈱フードアンドパートナーズ商品部次長の大島今日氏は「親芋は栄養豊富で甘くておいしく、捨てるのはもったいない。世の中に出す絶好のチャンスだ」と語りました。さらに熟成サトイモとして新しいカテゴリーで売り出すことを提案。「飲食店でも積極的に親芋を活用してほしい」と呼び掛けました。
シンポジウムでは、親芋を使ったサラダとチップスの試食もあり好評でした。80㌃でサトイモを栽培する久保薗貴政さんは「親芋を使った料理は初めて食べた。食感が良くておいしく、商品としての魅力を感じた。今後、本格的に湛水栽培に取り組みたい」と意欲をみせました。
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